2018年2月12日月曜日

プラムヴィレッジ・タイランド コアサンガ・リトリート報告~5

プラムヴィレッジのプラクティスには、5つのマインドフルネストレーニングがあります。

ちょうど、伝統的な仏教の五戒(生き物を殺さない、盗みをしない、嘘をつかない、パートナー以外と淫らな行為をしない、飲酒・麻薬などを摂取しない)に対応したトレーニングです。
プラムヴィレッジでは、伝統的な仏教の五戒を、現代人の生活に合わせて、更新を続けています。例えば、最後の項目は、飲酒や麻薬を摂取しないだけではなく、心身に害を及ぼすようなメディア(例えば、暴力的な映画やゲームなど)からも距離を置くことを書かれています。

「出来る。出来ない」で自他を裁くのでは無く、自分自身の生活をより豊かで、平和に導くトレーニングとして活用するよう薦めています。


リトリート3日目の夜に、5つのマインドフルネストレーニングのプレゼンテーションがありました。
各国のサンガから、実践者の方達がそれぞれのトレーニングを通しての経験をシェアしてくれました。
香港の実践者からのシェアでは、生き物を殺さないトレーニングを通して、ベジタリアンになったが、ロブスターを買ってきた母親を痛烈に批判し、悲しませてしまい、自分自身が戒を守りつつも、周りの人達との調和を保つことの難しさを伝えてくれました。

その中でも、特に印象に残ったのが、3番目の項目「真実の愛」についてのシェアでした。
シェアしてくれたのは、Nanaさんという中国の実践者の方でした。
彼女の祖母は、夫が当時、社会活動に奔走して何年もの間、留守で音信不通になってしまっても、夫の帰りをずっと待っていたそうです。
周りの人は「きっと彼は戻ってこないから、諦めて別の人を探したら?」と勧めましたが、夫を信じて忍耐強く待っていたそうです。
そして、数年後に夫は帰ってきて、やがて子供が産まれたそうです。
その子供が、Nanaさんの親でした。
「もし、祖母の忍耐強さが無ければ、私はこの世に存在していませんでした」と語っていました。
そして、「現代の私達は、恋人や配偶者に対して、ちょっと不満がくると簡単に別れて、すぐに別の人を探そうとします。しかし、いくら別の人に変わっても同じような問題が出てきて、きりがありません。この人と一緒にいると決心したら、簡単に別れようとせずに、一緒に問題を乗り越えるよう努力することが、真実の愛ではないでしょうか?」
と問いかけていました。

私は彼女のプレゼンテーションを聞いて、妻のことを思い出しました。
私の妻は中国人で、6年前に結婚しました。
(このブログを書いていて気づいたのですが、5つのマインドフルネストレーニングのプレゼンテーションの日と、私達夫婦の入籍日が同じ日でした…)

結婚後は、価値観の違いや、これまでの生い立ちの違いにより、お互いに誤解して苦しい局面もありました。
そんな時に、すぐに私は諦めモードになってしまうのですが、妻は決して諦めることはありませんでした。
少しずつ、お互いの価値観や生い立ちなどをシェアして、苦しい局面を乗り越えていきました。
2人の小さな娘を持ちながら、私がプラムヴィレッジ・タイランドでリトリートに参加出来るのも、妻の深い理解があったからだと、改めて気付きました。

翌日、朝食後にダイニングホールでNanaさんを見掛けました。
私は彼女の元に行って、自己紹介をして、中国のサンガについて聞きました。
中国では北京に大きなサンガがあるが、他の都市ではサンガ作りはこれからという話しをしてくれました。
そして、中国語版のプラムヴィレッジの本をプレゼントしてくれました。



この日の夜は、Be-inという、プラムヴィレッジのリトリートに集まった世界中の実践者が、一つの会場に集まってシェアリングするプラクティスが開かれました。

ちょうど、私の向かい側には中国・香港・台湾サンガの皆さんが座っていました。

私は思い切って手を挙げて、シェアリングをしました。
Nanaさんのプレゼンテーションを聞いて思い出した妻のこと、年末年始を家族で過ごすか迷いながらも、最終的にプラムヴィレッジに来たこと。
そして、プラムヴィレッジの歌を中国語でも憶えて、家族で歌いたいと話しました。


中国・香港・台湾サンガの皆さんは、私の話しを深く聴き、それぞれの持つ愛の話しをシェアしてくれました。そして、サンガの皆で中国語の歌を歌ってくれました。
🌙月亮代表我的心🌝 / 鄧麗君 (テレサ テン)

その後、タイランドのサンガのおじさんが手を挙げました。
おじさんは私に向かって「日本人と中国人の夫妻、国は違っても、大変なことがあっても、諦めずに最後まで夫婦関係を続けなさい!決して諦めないで!」と力強い励ましを送ってくれました。

国や文化は違っても、「愛」という言葉をきっかけに、世界のサンガの心が繋がった一時でした。

(Seiji@日光サンガ)


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