2019年11月13日水曜日

日光サンガ 11月の「気づきの日」瞑想会の報告(1)

2019年11月3日、日光サンガ「気づきの日」の瞑想会が開かれました。


まず始めに、トゥさんの誘導で座る瞑想とトータルリラクゼーションがあり、その後、アンフーンさんの法話がありました。

「Good morning, Dear friends」
親愛なる皆さん、おはようございます。
私はこうして皆さんに「Dear friends」と呼び掛けるときに大きな喜びを感じます。
これは単なる言葉ではなく、心の深いところで経験されているものです。
たとえ皆さんがこの法話に初めて参加したとしても、私は皆さんに「Dear friends」、「私の親愛なる友」と呼び掛けます。

15年前、ワシントンで心理療法のシンポジウムが開かれて、私はそこでマインドフルネスの講演をしました。
その講演の冒頭で、私は参加者の方々に「Dear friends」と呼び掛けたことを憶えています。
数年後、講演の参加者の一人が私の瞑想会に参加しました。
彼女は私の講演の中で聴いた鐘の音と、「Dear friends」という言葉のことをシェアしてくれました。そして、涙を流しました。

「Dear friends」という言葉は決して難しい言葉ではありません。Dear(親愛なる)とfriends(友よ)というシンプルな言葉の組み合わせです。
しかし、その言葉を聞いたときに、彼女の心の奥深くにある愛の種、つながりの種に水が注がれたのです。

彼女が私に話してくれたことは、彼女のこれまでの人生の中で初めて愛を感じた瞬間が、「Dear friends」という言葉を聞いたときだったことです。
その後、彼女は多くの法話を聞きましたが、この「Dear friends」というシンプルな言葉が、彼女にとっては、大きな愛を感じる言葉でした。

そして今は、皆さん一人ひとりに心の奥深くから「Dear friends」と呼び掛けます。
なぜなら、皆さん一人ひとりがマインドフルネスの実践をするために、今ここに集まったからです。
マインドフルネスの実践を通して、皆さん一人ひとりの中に「先生」の存在が現れてくるからです。

マインドフルネスの実践によって、私たちは昏睡状態のような深い眠りから目覚めます。
そして、目覚めた後、私の愛、喜び、痛み、は全て私にとって「Dear」親愛なるものになります。

マインドフルネスの実践を通して、私は自分の痛みに触れることができます。
痛みを愛の目でまっすぐに見つめ、恐れることはありません。痛みを「Dear」親愛なるものとして受け入れることができます。

親愛なる皆さん、この「Dear friends」という言葉は、ただの言葉ではありません。
この言葉をどの部分から発するのかで、そのエネルギーの伝わり方が変わります。

ときには、誰かを見つめるだけで、相手が泣き出すことがあります。
ときには、誰かを抱きしめるだけで、相手が泣き出すことがあります。
言葉は発していません。ただ見つめる、ただ抱きしめる、それだけで誰かの目から涙が溢れ出すことがあります。

涙を流すこと、それは癒やしの瞬間です。
何世代にも渡って、心の奥で凍りついた固まりが、溶け出す瞬間です。それはマインドフルネスの奇跡です。

現代社会では、心の奥で凍りついた固まりが、長い時間そのままになっていることがあります。
私たちは、とても忙しい毎日を送っています。
やるべきことがたくさんあります。良いこともたくさんしようと思っています。
ただし、泣くための時間や場所が無いのです。

今日、この「気づきの日」、マインドフルネス実践の日は、私たちの意図は、ただ、私たちのためにいるということです。
何かをする必要はありません。何かを達成する必要もありません。
ただ、私であれば良い、私と共にいれば良いのです。

愛や平和や安心のエネルギーがサンガにある、そこに行けば、愛や平和や安心を感じることができる、サンガをそんな場所にしたいと思っています。
そしてそれは、サンガに参加した方一人ひとりのマインドフルネスの実践をそうして出来上がっていくものだと思います。

サンガの中で一人ひとりがマインドフルネスの実践をすることで、マインドフルネスのエネルギーが私たちの心の中で凍りついている固まりを溶かしてくれます。それがマインドフルネスの奇跡です。

ですから、親愛なる皆さん、皆さんは今、正しい場所にいますよ。

皆さんは今、愛されています。見つめられています。
これまでの人生の中で、皆さんは愛されたり、見つめられたことが無かったかもしれません。
ですが、皆さんは、愛される存在であり、見つめられる存在であり、掛け替えのない貴重な存在です。
皆さんが今ここにいることに、心から感謝しています。

<次回に続きます>