午前中のアンフーンさんの法話の冒頭では、座る瞑想から始めました。
今からの座る瞑想では、自分の身体と心に対して好奇心を持って座って下さい。好奇心を持つとは、「実は、私は私の身体と心のことを知らない」と認識することです。普段、私達は「私は私の身体と心のことを知っている」前提で生活しています。
ですが、今からの瞑想では、知らないことに気づき、知らないことを楽しみ、好奇心を持って瞑想を行いましょう。それから鐘を招いて瞑想を行いました。
瞑想の後に、法話が続きました。
こうして、一緒に呼吸を合わせることで繋がりが生まれます。私はワシントンにいて、皆さんは日本や韓国にいます。こちらは夜ですが、皆さんの所は朝です。どんなに距離が離れていても、こうして繋がることが出来ます。一方で、どんなに近くにいても、すぐ隣にいても繋がりを感じられない人たちがいます。大切なのは物理的な距離では無くて、繋がるという意図を持つことです。まずは呼吸を通して、自分自身と繋がって下さい。自分自身と深く繋がることが出来れば、周りとも深く繋がることが出来ます。どんな境遇であっても、私達の周りには、喜びや幸せの繋がりを見つけることが出来ます。太陽や青空や緑の草木、自分を支えてくれる人々など、周りに満ちています。しかし、自分自身と繋がっていないと、そうしたものと繋がることも出来ません。そして、どんどんと孤独感、寂しさ、怖れ、怒りが溜まっていきます。やがて、それらの感情が爆発して、自分や周りの人々に大きな苦しみを与えてしまうかも知れません。自分の中の小さな孤独感、寂しさ、怖れ、怒りは小さな火のようです。でも、その小さな火が火種となって、森全体を燃やすこともあります。ある有名な俳優はステージの上で、大勢の観客達から注目され、歓声を受けます。それから自宅に戻り、豪華なベッドの上に横たわりますが、そのベッドの上で大きな孤独感に苛まれます。彼はその孤独感をケアすることが出来ずに苦しみます。ですから、常に自分自身の感情をケアしてあげる必要があります。
続いて、トゥさんのトータルボディリラクゼーションがあり、
その後はアンフーンさんへの質疑応答がありました。
最初の質問では、
数年前からプラクティスを始めて、自分自身が幸せになることが出来た。
そこで、このプラクティスの素晴らしさを周りに伝えようとするが、なかなか伝わらずに、反発を受けることもある。
特に、執着のある身近な家族ほど反発される。
どうすれば、周りの人にもプラクティスを伝えることが出来ますか?
というものでした。
それに対して、アンフーンさんは、
あなたは3年前と比べて幸せになりましたか?あなたがプラクティスによって、幸せになったのなら、あなたの周りの家族も幸せになりました。一人の人が幸せになれば、周りの家族も幸せになります。一人の人が苦しめば、周りの家族も苦しみます。日本の社会も苦しみます。世界も苦しみます。地球も苦しみます。私自身もプラクティスを始めた頃は、周りの人のためにプラクティスをしていました。私の家族のためにプラクティスをしていました。ですが、今は私は私自身のために、プラクティスをするようになりました。私自身に立ち返って、苦しみを癒やし、喜びや幸せを育ててきました。ですが、そのことが同時に私の周りの人々の苦しみを癒やし、喜びや幸せを育てることになりました。私がプラクティスによって、喜びや幸せに満ちると、周りの人々が「どんなプラクティスをしているの?」と尋ねてくることもあります。まるで、幸せや喜びのエネルギーが人々を磁石のように引き付けるのです。自分から説明したりすることもありません。ただ、一緒にプラクティスをすることで、そのエネルギーが伝わります。人は皆、幸せになりたいと思って、色々なことをしています。ですが、方向が間違っていて、幸せとは逆の方向に行くこともあります。私は、幸せの余りに泣くこともあります。人々はそれを見て「かわいそう」と思いますが、それは真実ではありません。私の涙は幸せの涙です。誰かが苦しんでいる時に、その苦しみを受け止めて泣くこともあります。その相手は余りに心が凍り付いてしまって、泣くことすら出来ませんでした。そうして、私の涙がその相手の心を暖め、癒やすこともありました。まずは、一人一人がプラクティスをして、自分自身の幸せや喜びを育て、苦しみを癒やして下さい。
そのことが同時に周りの人々の幸せや喜びを育て、苦しみを癒やすことになります。
また、他の質問では、
職場で一緒にいる後輩の態度が悪く、苦しい。
職場に行く前にプラクティスをして、自分の中の慈悲を育ててから職場に行っても、なかなか良くならない。
先日は、彼女の大好物のパンをプレゼントして、しばらくは機嫌が良くなったが、数日経つとまた元に戻った。
どのようにすれば良いのか?
というものでした。
アンフーンさんからの回答は、
苦しみを深く見つめるためには、朝晩に「大地に触れる瞑想」を行うこと。毎日が新しい日です。以前、プレゼントしたからと言っても、次の日にはあなたも彼女も新しい人になっています。ですから、毎日、新しいプレゼントをしてください。パンでもクッキーでもキャンディでも、また「おはようございます」という挨拶の言葉を心から言うこともプレゼントです。もし、昨日、今日、明日と、3回プレゼントをしたら、相手に対して3回分の貸しがあると考えるかも知れませんが、それは誤りです。同じあなたが同じ相手にプレゼントをしているわけでは無いからです。ただ、あなたが彼女にパンをプレゼントして、短い間でも彼女が喜んだことは素晴らしいことです。人によっては、プレゼントしたら拒絶されたり、反対に怒られることだってあります。それでも、人の態度を変えることは、簡単なことではありません。自分自身の態度を変えることだって難しいのです。彼女の態度の源は、彼女自身の深い苦しみから来ています。その苦しみを彼女自身が見つめて、変容させることは並大抵の事ではありません。ですから、急いで結果を求めずに、毎日新しい日にプレゼントを続けて下さい。
というものでした。
最後の質問は、
先日の悲惨な事件のニュースを知り、苦しいです。
その事件が起きる少し前に、同じ場所で子供達と過ごしました。
そのため、その事件がとても身近に感じます。
プラクティスをして、自分の中の恐怖や怒りを抱き締めることで、少し落ち着きを取り戻しましたが、
電車でその事件のあった駅の前を通り過ぎたときに再び苦しみに襲われました。
サンガの皆んなと一緒に呼吸を合わせることをしたいです。
また、アンフーンさんからもアドバイスを欲しいです。
と言ったものでした。
アンフーンさんからの回答は、
その悲惨な事件は朝起きましたが、それは朝だけに起きたものではありません。そして、最後に、アンフーンさんの誘導で座る瞑想を行い、サンガ全体で呼吸に気づきを向けながら、事件の被害者達の苦しみに寄り添い、癒しのエネルギーを送りました。
それは、怒りや絶望や憎しみが長い年月を掛けて溜まっていき、それがついに爆発したのがその日の朝だったということです。
その事件を知って、まずすることは自分の内側を見ることです。
内側にある怒りや怖れや絶望を見て、理解し、抱きしめて下さい。
その怒りや怖れや絶望は、日本という国の先祖から長い時間を掛けて受け継がれたものかも知れません。
「大地に触れる瞑想」をサンガで行ってください。
事件の加害者は、自分の内側にある深い苦しみ、怒り、怖れ、絶望をどうすれば良いのか分かりませんでした。
しかし、私達にはサンガがあります。
サンガという揺りかごの中で、自分の心を開いて、苦しみ、怒り、怖れ、絶望などを癒して下さい。
また、この苦しみを癒す方法を2つお伝えします。
1つ目は、タッピング・メディテーションです。
これは2、3年前に京都のリトリートでお伝えしましたね。
アファメーションの言葉を使うこともお勧めします。
2つ目は、ラブレターを書くことです。
事件の当事者達に宛てた心からのラブレターを書くことです。
亡くなられた事件の被害者や家族の苦しみに寄り添い、書いて下さい。
さらに加害者にも書いて下さい。彼の深い苦しみを理解し、書いて下さい。
その後は、食べる瞑想、歩く瞑想、マインドフルネス体操、歌う瞑想、座る瞑想、ダルマ・シェアリングを行いました。
2ヶ月ぶりの開催で、ダルマ・シェアリングでは、メンバーそれぞれが心からのシェアリングをして、サンガ活動の大切さを改めて思い出すことが出来ました。瞑想会の後は、時間のある人は、近くの温泉「松島温泉 乙女の湯」にゆったりと入りました。
次回の瞑想会は、7月7日(日曜日)です。
場所は、いつもと違って「さくら市 氏家公民館」の予定です。
皆さまの参加をお待ちしております♪